僕と君の想い人
今日は少し、胸が痛い。君と過ごした時間を振り返るたびに、その痛みは深くなるけれど、それでもあの時の君の笑顔が、心の中で鮮やかに蘇るたびに、僕はまた少しだけ幸せな気持ちになる。
君と出会ったのは、もう何年も前だ。最初はただの友達として、気取らず、無理せず、たわいもない話をして過ごすことができた。君と一緒にいると、いつも時間があっという間に過ぎていく。無理に笑わせようとしなくても、君は自然に周りの空気を和ませるから、僕はいつもその存在が心地よかった。
でも、いつからだろう。君のことが、ただの友達以上に気になるようになったのは。最初はそれが恋だと気づけなかった。ただ、君と一緒にいるときが楽しくて、少しでも君と長く話していたいと思う自分がいた。それが、ただの友情なのか、恋愛感情なのかも分からずに、ただ君の隣で過ごすことを幸せだと思っていた。
そんなある日、君から「好きな人ができたんだ」と告げられた。その時、僕は思わず言葉を飲み込んだ。君にとって、その「好きな人」はどういう存在だったのか、誰なのか、詳しくは聞けなかった。でも、君があまりにも楽しそうに話すから、その気持ちが嬉しそうな君を見ているだけで、僕は胸の奥で何かがしこりのように詰まっていくのを感じていた。
君が好きな人は、僕じゃない。僕の心の中でその事実が何度も反芻された。それでも、君が幸せそうなら、それが一番だと、無理に笑顔を作って言った。「よかったね。」と。君はその言葉を嬉しそうに受け入れ、僕はその後、ひたすら心の中で自分を責め続けた。
でも、君が幸せであることが、なぜか僕には辛くてたまらなかった。それを言葉にできないもどかしさは、時間が経つにつれて増していった。君と過ごす時間は、だんだんと少しずつ遠くなり、君がその「好きな人」と過ごす時間が増えていくのを見ると、どうしようもなく寂しい気持ちが押し寄せてきた。
それでも、僕は君の幸せを心から願っていた。君が選んだ道が正しい道だと信じていたし、その選択を尊重しなければならないと思っていたから。でも、心の中で君への気持ちが募っていくにつれて、その思いをどうしても抑えきれなくなった。
僕と君は、ある意味で似ているところがあった。お互いに、思っていることをなかなか口に出せないタイプだと、ずっと感じていた。君が好きな人と過ごしているのを見て、僕は本当は何も言えなかったけれど、それでも少しでも君の心に響くような存在でいたかった。君が振り向いてくれるなんてことは、最初から分かっていたけれど、どうしてもその気持ちを隠せなかった。
君が僕を友達として見ていることは、分かっている。それは重々承知だ。でも、それでも、僕は君の笑顔が見たいし、君と一緒にいる時間を大切にしたいと思っている。どうしても君を手に入れられないと分かっていても、それでも僕は君を大切に思っている。
君が好きな人の話を聞くたびに、僕は心の中でそっと涙をこらえていた。君が幸せなら、それでいいはずなのに、どうしても僕の気持ちはその一歩手前で止まってしまう。君が他の誰かと幸せになれば、きっと僕はそれを心から祝福できる。でも、今はまだその準備ができていない自分がいる。
そして今日、君が僕に言った。「やっぱり、あの人とはうまくいかなくて…」と。君の目に浮かぶその涙を見たとき、僕は思わず手を伸ばしそうになった。しかし、それが本当に君が望んでいることなのか、僕には分からなかった。
僕と君の想い人は、きっと別々の人間だ。でも、それでも僕は君のことを大切に思い、君にとって最も大切な存在でありたいと心から願っている。それが、どんな形であれ。
明日もまた、僕は君を笑顔にするために、できる限りのことをするだろう。君が幸せでいられるように、君の近くにいられるように、僕なりのやり方で。
君がどんな人を好きでいようとも、僕は変わらず君を想っている。そんな僕の気持ちが、君に届く日が来るのだろうか。今はまだ、その答えを見つけられない。
でも、君と僕の想い人が交わる日を、心のどこかで信じている。
